風は東から(校長ブログ)
卒業生へ最後の授業(校長式辞)
卒業生の皆さん、保護者の皆さま、ご来賓の皆さま、そして在校生の皆さん。
令和7年度 県立草加東高等学校の卒業式にあたり、皆さまと共にこの佳き日を迎えられますことを、心からうれしく、また誇らしく思います。
まずは、卒業生の皆さん、ご卒業おめでとうございます。三年間この学び舎で培った努力と成長に、心からの拍手を送ります。また、日々温かく支えてくださった保護者の皆さま、地域の皆さま、本校教育にご理解とご協力を賜りましたことに、深く感謝申し上げます。
皆さんが入学した当初から今日に至るまで、我が国の総理大臣も岸田総理、石破総理、高市総理と政治は変わり、社会も大きく揺れ動きました。また、世界に目を向けると戦争や紛争が続き、いまだ終息が見えない不安があります。いま、私は右手に白い手袋を持っています。一説によると武器をもっていない、戦う意思はないことを表していると聞きました。世界のリーダーの手にも白い手袋をもってほしいと切に願います。
このような時代、皆さんの学びの在り方も、生活のリズムも、様々な変化を求められる中で、環境に適応しながら、自分の課題と向き合い、仲間と支え合い、着実に前へ進みました。行事や部活動、日々の授業の一つひとつに、皆さんは確かな「自分の言葉」と「自分の選択」を積み重ねてきました。その粘り強さ、誠実さ、そして挑戦する姿勢こそが、草加東で育った皆さんの誇りです。
本校が大切にしてきたのは、知識の習得だけではなく、総合的探究の授業や学校行事など、問いを立て、仲間と協働し、解を創り出す力です。失敗を恐れずに試し、振り返り、次へ活かす——この「学び続ける力」は、進学先でも、職場でも、社会のどの場面でも、皆さんを確実に支えていくことでしょう。そして、地域に根ざし、他者を思いやる姿勢を身に着けました。多様な価値観を尊重し、対話から新しい道を拓く姿勢は、これからの時代にこそ求められる力です。
本校から旅立つ皆さんに、私から最後の授業として、三つのエールを送ります
一つ目は「誰かのために考える人になれ」
自分の成長を他者の喜びと結びつけてください。小さな配慮や丁寧な言葉が、信頼を生み、豊かな人間関係を築きます。そして、世界のどこかで誰かを支え、誰かを笑顔にできる人になってください。
二つ目は「学びを止めない人になれ」
知識は更新され、技術は進歩し、社会の課題も姿を変えます。確かな知識はSNSでは得られません。本や新聞を読み、世の中の「なぜ」を検証する。「なぜ」を解き明かすことを楽しむ心を持ち続けてください。
最後に「自分を大切にする人になれ」
忙しい時こそ、健康を整え、休息を取り、自分自身と対話して心の声に耳を傾けてください。自分を丁寧に扱える人は、周囲にも優しさを広げられます。
在校生の皆さん、先輩方の背中に学び、学校をより良くする工夫を重ねてください。挑戦は未完成であってかまいません。未完成だからこそ、伸びしろがあります。互いに認め合い、安心して意見を交わせる校風を、皆さんの手でさらに磨いていってください。
保護者の皆様、これまでのご支援に、本校教職員を代表し、あらためて感謝申し上げます。子どもたちが安心して挑戦できる環境は、家庭と学校、地域がつながってこそ実現します。3年間、本当にありがとうございました。
結びに、卒業生の皆さんにシェイクスピアの言葉を送ります。シェイクスピアは「われわれは、夢でできている」と表現しました。皆さんの胸にある夢は、努力と仲間との協働によって、確かな現実へと形づくられていきます。ぜひ、夢をあきらめず、持ち続けてください。
これから先、思い通りにいかない日も、思いがけない幸運に恵まれる日もあるでしょう。そのすべてが皆さんを鍛え、彩る糧になります。皆さんの未来が、本校校歌に歌われる、茜色の夕空のように色彩豊かなで、希望に満ちたものでありますことを心より祈念しています。
令和8年3月11日
埼玉県立草加東高等学校 校長 佐藤智明
自分軸をつくる(3学期始業式)
令和8年、新しい年を迎えました。皆さんは冬休みどのように過ごしていましたか。
先日、鳥取・島根での地震がありました。君たちの身近にも、被災された人がいるかもしれません。日本はどの地域でも、同様な地震が起こる可能性があります。学校にいるときは避難訓練もしており、先生方が誘導してくれます。通学中に地震が起きたときの対応は想定していますか。日頃からの備えを忘れずにしてください。
新年早々気になるニュースがありました。アメリカがベネズエラ攻撃(ベネズエラなどは侵略)しマドゥロ大統領の拘束しました。ロシアのウクライナ侵略はいまだ停戦への道筋が見えません。イスラエルはパレスチナ自治区ガザでのハマスとの戦闘、停戦から3カ月たつがいまだ戦闘が続いています。
みなさんは、これらのニュースを聞いて、遠い世界のことで自分には関係がない、さらに、高校生の自分たちにできることなんてないと思っていないだろうか。
国と国の調停に関わったり、現地に行ったりすることはできなくても、君たちにできることはたくさんあります。まずは、興味を持つこと、そして、真実を知ること。そのためには複数の情報源を見てください。それぞれの立場で自己を正当化する発言があり、それぞれに正義だと発信している。では、何を信じればいいのか。
一つの事実に対して、異なる解釈があるとき、正しく判断するにはどうしたらいいのか。情報の授業などで学んでいるが、ネットの情報をうのみにせず、正しく判断することと同じです。
大切なのは、自分の考え、すなわち「自分自身の軸」を持つこと。自分自身の軸を持つために必要な力は、どうやって身につければいいか。それは「学ぶ」ということ。歴史から学ぶ、書物から学ぶ、人から学ぶ。中でも、偏りなく、バランスよく学ぶのに最適なものは学校の授業です。皆さんの学校での学びは、進路実現のためでもあるが、将来にわたって自分の軸を持つために大切な基礎となります。
3学期はこれまで学習してきたことの集大成です。周囲の雑音に惑わされることなく、自分軸でぶれずに判断できる力を身に着けるためにも、日頃の勉強に打ち込んでほしい。そして、クラスには新聞が配られている。ネットニュースなどと違って、バランスの取れた捉え方をしている。毎日の習慣で世の中を見る感性も養ってください。
3学期は1・2学期と比べて短く、入試もあるのであっという間です。計画的に充実した生活を送ってください。
2学期終業式(自分の個性も他人の個性も大切にしよう)
今学期、嬉しいことがあったので紹介します。
卒業生から寄付をいただきました。平成4年の卒業生で50歳前半の方。所用があって、学校に来校されたとき、在学中にお世話になったので、寄付をしたいという申し出を受け、ありがたく受け取りました。その卒業生は、いまも地元で暮らしています。おそらく、高校時代にたくさんの思い出があり、30年以上たった今も一人の卒業生として、この学校を見守ってくれている方がいることをとても嬉しく感じます。
皆さんも、いまを一生懸命に充実させることができれば、いつか振り返った時に、この卒業生と同じように、ここで自分自身が成長したと感じられるのではないかと思います。君たちの周りには、草加東の後輩を思いやる先輩たちがいることを忘れずに生活してください。
さて、3年生は進路が決まった生徒、または、これから大学入試を迎えて頑張っている生徒も多くいる。
1月17日・18日の共通テスト、さらに一般入試に向けて頑張ってください。
本校は約半分の生徒が大学進学をするのですが、大学には、高校の授業にはない、変わったテーマを研究する学問があります。例えば、国立大学法人 東京学芸大学 准教授の小西公大さんは「変人類」をテーマに研究する、変人類学研究所の所長で、東京学芸大学が企業と教育プログラムの構築を探る実践型研究機関です。彼が研究する「変人類」というのは、変な人類学(変・人類学)を学術的研究する学問で、マージナリティ(境界性)、マイノリティの特異な視点を研究し、現代社会に適合する次世代のクリエイティブ教育の構築を探るというものです。
簡単に言うと、人とちょっと変わった視点で、多角的に物事をとらえることが、新たな教育革新につながるヒントとなることを研究しています。
小西先生が研究を始めたきっかけは、インドに行った時のこと。日本のあたりまえと思っていたことがインドでは通じないことに驚きました。彼は、これまで当たり前と思っていたこととの違いに出会う度に、自分の枠が広がっていく経験をしたと言っています。
私もJICAの関係でバヌアツやブラジルで仕事をして同じような経験をしました。日本人は時間に正確です。新幹線の時間の正確さは世界でも類を見ない。ところが、バヌアツで酋長と待ち合わせをしたとき、相手が3日くらい遅れてきました。日本人である私は、なんで3日も待たせるんだと怒ってしまったことがあります。ところが、友人が言うには、酋長は約束の時間に20Km位離れた村を出た。そして歩いてくる途中に手土産をもっていきたくなって、野生の牛を捕まえようとして森に入って探しているうちに3日遅れてしまったとのこと。「君は待っていただけだが、彼は3日間ずっと君のことを考えて、森を歩いていたんだ。だから怒ってはいけない。」と言われ、自分の立場でだけ考えて、相手の立場で考えていなかったと、はっとさせられたことがありました。
違いというより、相手の立場で考えることができたかどうか、ということかもしれない。相手の立場で考えるとは、想像力が必要なこと。想像力を身に着けることも、自分自身の枠を広げることにつながります。
皆さんは、いま、高校生活では小中学校よりも広範囲から人が集まっています。その中で一人一人が違うのは当たり前のこと。お互いの違いを受け入れて認め合い、違いを活かしあうことが大切です。また、自分はもしかしたら周りの人とちょっと違うかもしれないと思っている人がいたら、それこそが自分の強みなのだと思ってください。
違いを受け入れて認め合うこと、相手の視点に立って考えること。これらのことは、高校生活において大切なことであるし、皆さんが身に着けてほしい資質です。自分の個性を伸ばし、自分の個性も他人の個性も大切にする。そんなことを考える冬季休業にしてください。
伝統とは (2学期始業式)
今朝、正門に立ってたら、外の部活動の皆さんは真っ黒に日焼けしていて、夏休み中頑張って、きっと心身ともに鍛えられて、体力も向上していると思います。まだまだ暑い日が続きますが、体調管理をしっかりと行い元気に過ごしてください。
今週は文化祭もあります。生徒会やクラス、部活動など準備をしてきたと思います。コロナ感染も再び広まっているようです。自分自身も、周りの人も大切に考えた行動をお願いします。
新学期にあたり、悩みや不安がある人もいるでしょう。特に3年生は、進路に向けて不安もあると思います。
そんなときは一人で抱え込まないで、家族や友人、先生に相談してください。相談をされた人は、解決しようとしなくてもいいから、寄り添って、あなたは大切な友達だと伝えてください。そして、一緒に誰かに相談してください。
さて、私は夏休みに宮崎県の高千穂地方に行ってきました。岩戸隠れといわれる神話を聞いたことがある人もいると思います。天照大神が天の岩戸に隠れて、世の中が闇に包まれてしまい、困った神様が話し合いをした。閉じられた岩の前で鈿女が躍ったのをのぞこうとしたすきに、扉を外して世の中に昼間がやってきたという言い伝えです。天の岩戸神社がある、高千穂地方は神話の郷ともいわれています。どの地域にも、古くから伝わる神話や民話があり、様々な示唆に富む話があります。
皆さんになかには、この夏休み、田舎に帰ったり、お盆にはお墓参りに行った人もいるかもしれません。私も親の墓参りをしながら、お墓で手を合わせ祖先の方に思いをはせるという伝統的な習慣にはどんな意味があるのか考えました。
私たちは、医療関係者や葬儀の関係者でもない限り、日常の中で人の死を意識する機会は少ないと思います。それでも地球上の一生物である私たちは、確実にいつかは死を迎える。そんな当たり前のことを意識し、限りがあるからこそ、いまを生きるこの瞬間を大切に思うために、伝統的な習慣が続けられてきたのではないかと思いました。
最近では、簡素化されることもありますが、古くからおこなわれてきた、伝統行事や風習には今を生きる私たちにとって、大切なことを教えてくれているのかもしれません。目新しいものだけでなく、古くから伝えられてきたことも大切にしてください。
今学期は、本校伝統の東輝祭をはじめ、いろいろな行事もあります。本校の伝統を大切にしつつ、みんなで協力して取り組んで、充実した2学期にしていきましょう。
世界に目を向け、自分を成長させる夏休みに
【1学期終業式 校長講話】
本日で1学期が終了します。この3か月間、皆さんそれぞれが学業や部活動、学校生活の中でたくさんの挑戦をし、多くの経験を積んできたことと思います。皆さんの成長を心から誇りに思います。まずは頑張った自分自身をしっかりと褒めてください。
今学期、嬉しかったこと
① 先日、近隣の方から感謝の電話をいただいた。本校生が帰宅途中、草加公園で倒れた人を介抱し救急車を呼び、飲み物も用意してくれた。周囲にいた人がしっかりした、素敵な高校生を見て嬉しくなったと伝えていただきました。
② 草加市川柳地区民生委員の方から、地域ボランティアへの貢献してくれる本校生に感謝状をいただいた。
③ 野球応援では、サッカー部、ラグビー部、吹奏楽部をはじめ、たくさんの生徒と一緒に応援し、一緒に校歌を歌えたこと。野球部の部員も一人一人が、チームのためにできることを全力でやりぬく姿に感激しました。
これらのこと以外にも、草加東の皆さんは、いろいろなところで誰かのために、行動をしてくれていると思います。一生懸命な人を見ると、人は応援したくなるものです。皆さんは、応援される人になってください。
さて、いよいよ夏休みが始まります。今日は、夏休みをより有意義に過ごすための3つのヒントを、皆さんにお伝えしたいと思います。
1. 世界に目を向けよう
今、私たちが暮らす世界は、日々大きく変化しています。気候変動、エネルギー問題、国際紛争、人道危機など、さまざまな課題がニュースで取り上げられています。これらは遠い世界の話ではなく、私たちの生活にも深く関わっています。皆さんが社会に出る頃には、こうした問題にどう向き合うかが、ますます重要になります。だからこそ、この夏は「世界で何が起きているのか」に目を向ける時間を持ってみてください。
•新聞やニュースをチェックする
•興味のある国やテーマについて本を読む
•インターネットで調べてみる
こうした行動を通じて、世界の広さや多様性を感じることができるはずです。
また、7月20日には参議院議員通常選挙が行われます。今年は、初めて選挙(第1回衆議院議員総選挙)が実施されてから135周年、男子普通選挙100周年、女性参政権80周年、そして選挙権年齢が18歳に引き下げられてから10年を迎える節目の年でもあります。選挙権を持つ3年生の皆さんは、ぜひ自分の意思を一票に込めてください。選挙権のない皆さんも、あと少しでその権利を得る年齢になります。選挙は未来の社会を選ぶ行動です。自分のこととして、関心を持ってみましょう。
2. 自分の成長に時間を使おう
夏休みは、普段の学校生活ではなかなかできないことに挑戦できる貴重な時間です。新しい趣味を始めたり、好きなことを深めたり、自分の目標に向けて努力したりするチャンスです。
特におすすめしたいのは、「未来につながる行動」を起こすこと。
•大学進学を考えている人は、オープンキャンパスに参加してみましょう。1年生からでも大歓迎です。
•模試の結果にとらわれすぎず、「行ってみたい」と思える学校に足を運んでみてください。
•模試の結果は、今の自分を知る手がかりです。これからどれだけ伸びるかを考える材料にしましょう。
夢を語るときは、少し大げさなくらいがちょうどいいのです。宇宙飛行士の若田光一さんは、高校生の頃から「宇宙に行く」と周囲に宣言していたそうです。周りに何と言われても、言い続けたことで宇宙飛行士の夢を現実にしました。
今日7/18は「ネルソン・マンデラ国際デー」です。南アフリカで反アパルトヘイト(人種隔離政策)と戦い、のちに大統領となったネルソン・マンデラの言葉にこんなものがあります。
「生きるうえで最も偉大な栄光とは、決して転ばないことではない。転ぶたびに起き上がり続けることだ。」失敗しても、目標を見失しなわなければ、必ず目標に近づくことができるものです。将来の夢を見失わず、前に進んでください。私は海外ボランティアに参加したとき、彼の言葉にとても影響を受けました。
3. 健康と安全を第一に
夏休みは楽しい反面、危険も潜んでいます。交通事故、水の事故、熱中症などには十分注意してください。
また、規則正しい生活を心がけ、心身ともに健康を保つことも大切です。長い休みだからこそ、体も心もリフレッシュできるようにしましょう。
最後に
皆さんがこれからの人生を歩むうえで大切なのは、「自分が何を感じ、何を考え、どう行動するか」を常に問い続けることです。そのためには、自分自身と向き合う時間が必要です。この夏休みを通じて、「自分が何を大切にしたいのか」を考え「未来につながる行動」を起こしてみてください。2学期、皆さんが一段と成長した姿で学校に戻ってくることを楽しみにしています。
新入生に取り組んでもらいたい3つのこと(入学式式辞)
新入生の皆さん、ご入学おめでとうございます。皆さんの入学を心より歓迎いたします。
また、本日ここにお集まりいただいた保護者の皆様、ご家族の皆様にも心よりお祝い申し上げます。
春の訪れとともに、318名の新しい仲間を迎え入れることができることを大変嬉しく思います。新入生の皆さんは、これからの3年間、この学校で数多くの学びや経験を積むことになります。皆さん一人ひとりが持つ可能性は無限大であり、ここでの時間がその可能性を大きく広げるものになることを心から願っています。
さて、ただ今、入学を許可されました新入生の皆さん、これからの高校生活において、皆さんに取り組んでもらいたいことが3つあります。それは、「目標を持つこと」、「知識を深めること」、「挑戦すること」それぞれ、著名な方の言葉を紹介し、これからの高校生活の指針としていただければと思います。
1つ目は、夢や目標を持つこと。
ウォルト・ディズニーのことばで、「夢を見ることができれば、それを実現することもできる。」とあります。
皆さんが持つ夢は、小さくても大きくても構いません。その夢を抱き続けること、そしてそれに向かって一歩ずつ歩むことが大切です。夢に向かって進む皆さんの姿は、周りの仲間にも影響を与え、やがて大きな成果を生むでしょう。夢を言葉にして誰かに伝える、または、鏡の中の自分に向かって声にしてみるのも夢に近づくための第一歩かもしれません。
2つ目は知識を深めること。
フランスの作家 サン=テグジュペリが『星の王子さま』の中で語った言葉です。
「本当に大切なことは、目に見えないんだよ。」
この言葉は、物事の本質を見極める力が大切であることを教えています。高校生活で学ぶ知識は、目に見える成果だけでは測れません。学ぶことによって得られる思考力や想像力、他者を理解する心、それらが皆さんの人生を豊かにし、未来を切り開く鍵となります。
本校生の出身中学校は約100校もあります。人種や性別などのジェンダーを超えてダイバーシティ(多様性)が求められる時代です。多くの人との出会いの中でお互いの違いを認めて尊重し、深い知識を駆使し自分はどう生きるか思考してください。
3つ目は挑戦すること。
漫画家、藤子・F・不二雄(『ドラえもん』の原作者)の言葉です。
「未来はすべて、自分の手でつくるものだ。」
高校生活は、皆さんが未来を形づくるための大切な時間です。どんな未来を描きたいかを思い描き、その実現に向けて行動を起こしてください。厳しい受験を突破してきた皆さんには十分な素質があります、失敗を恐れず挑戦し、一歩ずつ前に進むことで、必ず夢に近づくことができます。
以上の3つを心にとめ、充実した高校生活を送ってくれることを期待します。
私たち教職員一同、皆さんの指導に全力で当たります。そして、全力で応援します。
新入生の皆さんが、自らの目標に挑戦し続け、前向きな高校生活を送ってくれることを願い、式辞といたします。
令和7年4月8日
埼玉県立草加東高等学校長 佐藤智明
※式では、藤子・F・不二雄 氏 の出身地を春日部市とお伝えしましたが、正しくは富山県高岡市の誤りでした。
対話力を磨こう(始業式)
今日から令和7年度、新しい年度がスタートし、午後からは第46期生の入学式が行われます。皆さんはそれぞれ、2年生と3年生、草加東高校の中心となって活躍し、後輩たちを引っ張っていく、または、さすがは先輩と憧れられるような存在になってくれることを期待しています。
始業式にあたり、私がから皆さんに伝えたいことが3つあります。
【1 身に着けてほしい力、対話力】
皆さんが社会に出るころには、今ある仕事の半分はなくなるといわれる、変化の激しい時代です。前例を探しても、答えが用意されていない時代を生き抜くために必要なものは、google検索のように、どこかに用意してあった過去の答えを探すことではなく、周囲の人と協調して、前向きに知恵を出し合い、課題を解決するための協調的な対話力です。
いま、対話という言葉を使いましたが、「対話と会話」は似ている言葉ですが、違いって何だと思いますか。
「対話」とは、互いの立場や意見の違いを理解し、その ズレを擦り合わせることを目的に行うものです。会話も対話も二人もしくは少数で話し合うことですが、 会話には明確な目的やゴールがありません。例えば、今日いい天気だねとか、昨日、あのテレビ見た?など
それに対し、対話は何かしらのテーマに基づいて、お互いが意見を述べ合い、何らかのゴールを目指します。
この対話力は、決して一人で身に着けることはできません。人と人の中で協調して取り組む経験こそが、対話力を高めていくものです。本校では学校行事や部活動など学年を超えて、取り組む活動があり、人と人とのつながりのネットワークを広げる機会がたくさんあります。新しい級友との出会いは対話力を高めるチャンスです。何事にも積極的に取り組んでください。
【2 進路選択について】
3年生だけでなく、2年生も進路について真剣に考える時期が迫っています。準備はどうでしょうか。進路決定に向けて大切なことは、第一志望を簡単にあきらめず、データに基づいて「積極的」な進路決定をすることです。
大学進学を目指す高校生がよく勘違いしていることは、模試判定、北辰テストと大学受験は意味が違う。詳しくは進路の先生や担任の先生に相談してほしいが、3年生であっても、いまCやD判定だからと言って安易に志望校をあきらめる必要はない。3年生の4月でD判定でも、合格している生徒はたくさんいます。ちょっと前の駿台模試のデータでは、3年の9月にD判定でも最後まで頑張った生徒の40%は合格している。これがデータに基づいて判断すること。
模試では、合否判定よりも、回答や解説を詳しく見て「何がわかっていないか」を確認し、合格ラインに届くには、あと何点取ればいいかを知ること。 そして、何がわかっていないかを確認しながら、対策をたてて勉強を進めていく方法を「メタ認知的」学習と言い、学習科学の研究では、成績向上にとても効果的だといわれています。学校の定期テストや小テスト、模試や英検などを効果的に活用して、「自分が何をわかっていかを理解して、それを克服する学習プランを考え取り組むというメタ認知的学習」で効果的に学力を高めてほしい。ただし、希望の進路をかなえるには、自ら学ぶ姿勢や一定の学習の時間は必ず必要です。昨年度、看護系の進学では県内トップクラスの難易度の大学に進学した君たちの先輩は、3年生になってからの追い上げでしたが、ほぼ毎日職員室前の机で勉強していました。
【3 時間を有効に使う】
私が尊敬する教え子の話をします。
さいたま市内の高校で担任をしていた頃のサッカー部の生徒。その生徒は朝7時頃から朝練、授業後は夜9時ころまで練習に打ち込んでいました。そのような生活をしていたので、家で勉強する時間はないのですが、授業中に集中して取り組み、とても優秀な成績でした。その生徒とは、のちに日本代表のGKとなって海外でも活躍した川島永嗣君でした。集中力、スキマ時間の使い方、高い志など、私が心から尊敬する教え子の一人です。
皆さんも、勉強中はスマホの電源をオフ、朝学習や電車通学の時間を活用するなど、時間の使い方について参考にしてほしいと思います。
最後に、日米で野球殿堂入りを果たした、イチロー選手の言葉を紹介します。
「小さいことを積み重ねることが、とんでもないところへ行くただ一つの道。」
目標を達成するための近道はなく、小さな努力の積み重ねが最も大切です。小さな一歩であっても、それを続けることでやがて大きな成果へとつながることを忘れずに、令和7年度の高校生活を送ってください。
高校生活をマネジメントする(3学期修了式)
今日は明日からの春休みに向けて「高校生活をマネジメントする」という話をしたい。つまり、高校生のうちに何をしておきたいかを考えて、計画的に行動するということを考えてください。
ところで、もし、人生をやり直せたら、どの年代に戻りたいかと考えてみました。(やり直したいわけではないですが。)
私自身を振り返ると、あそこに戻れば、なんにでもなれた、無限に将来の選択肢があったと思える時代が、高校生だと思っています。みなさんは、今、目の前に無限の選択肢があることを意識できていますか。
例えば、10年後の自分をイメージする。25歳から27歳、ほとんどの人は仕事をしていると思う。または、結婚して家庭を持っているかもしれない。皆さんは、どこで、どんな人たちと、どんな事をしていますか。
その10年後を決めるのは、高校時代の今をどう過すかが大きく関係します。中学校までは、自分の将来を選ぶ選択肢は多くなかった。中学から高校で進路の選択はあったが、ほとんどの中学の友達は高校に入学しているから大きな差はない。ところが、高校から先はいろいろな選択肢があります。卒業した3年生も、大学、短大、専門学校、就職と様々に進路を決めてそれぞれの道に進んでいきました。
どの進路に進もうと、勉強は避けて通れない。進みたい進路を実現するには、今、何をやらなければならないか。2学期に話した通り「悩む」のではなく「考え」て行動してください。
まずは、1日の中で、無駄な時間を減らす。YoutubeやTikTok、スマホゲームにどれだけ時間を取られていますか。かなり長時間これらのことに夢中になっている生徒もいます。確かに楽しいし夢中になることもわかります。でも、その時間は皆さんの進路実現にプラスになっているのか、改めて考えてください。
息抜きの時間は大切ですが、時間には限りがあります。ある生徒は、メールやチャットに気を取られるので、勉強するときはスマホを目の届かない場所に置くようにしていました。自分自身で自分の行動を計画的にコントロールする、これをマネジメントといいますが、自分の将来に向けて、自分自身をマネジメントしてください。
学習が大切と分かっていても、人間の心は弱いものだから、誘惑に負けやすい。
誘惑に負けない生活をするためには、学習時間を日常のルーティンに組み込むことが大切です。毎日、決まった時間に2時間机に向かう。朝学習の時間より1時間早く来て学習を始める。はじめは中身が伴わなくてもいい。2カ月続ければ、それが習慣になる。何かを変えようとする努力で大変なのは最初だけです。そのあとは、必ず成果がついてくるものです。
生徒手帳には毎日の計画や今週の予定/目標、振り返りを書く欄があります。大きな目標に近づくためには小さなステップを積み重ねる以外に道はありません。
新しい学年の切り替えは、新しいことを始めるチャンスです。新年度に向けて、夢をつかみ取るため「自分の高校生活をマネジメントする」ことを今日から始めてください。
未来を変える唯一の方法は、「今」を変えること
君たちが、1年後、または2年後に自分の希望する進路を実現することを期待しています。
全力を出すとは(3学期始業式校長講話)
新しい年を迎えました。新たな決意をもって、進級、卒業に向けて自覚ある学校生活を過ごしてください。
昨日は全国高校ラグビー決勝戦が行われ神奈川の桐蔭学園が優勝しました。選手一人ひとりがチームのために、全力を出し切って頑張る姿に感動しました。本校でも本日は水泳部、2学期終業式では放送、演劇、野球、弓道、陸上など多くの部活動の表彰をしましたが、皆さんが全力を出して頑張った成果だと思います。
さて、全力を出すといいましたが、「全力を出し切る」ことにはどんな意味があるのでしょうか。今日は、このことについて話をします。
最初にちょっと、別の話をします。お正月にお年玉をもらった人もいるでしょう。お金は使った分だけ無くなり、増えることはありません。お金を減らさないためには節約して計画的に使う必要があります。それに対して、人間の力は違う、とある先生が言いました。
その先生とはラグビー日本代表の監督を務めたこともある平尾誠二さんの高校時代の恩師で、スクールウォーズというドラマのモデルといわれる、ラグビー部顧問の山口良治先生です。平尾さんは、顧問の先生が「お金と人間の力は違うんだ」という話をずっと覚えていたそうです。
その話とは「人間の力というのは全部出し切らないと増えない。だから余すことなく使わなければいけない。今、10ある力を全部出し切ったら、10.001くらいになる。次の試合で10.001を全部使い切ったら、10.002というふうに力が増えていく。出し切らずに溜めたら、逆に減ってしまう。それがお金と違うところだ。」という言葉を生徒に伝えていたそうです。
なるほど、と思います。ラグビーだけでなく、いろいろなことに当てはまるのではないでしょうか。皆さんは持っている力を全部出し切っていますか。頑張ったつもりでいたけど、これくらいでいいや、と途中で自分に言い訳をしていたことはありませんか。私自身も頑張ったつもりになっていたことがあります。
この先生の話では、「10の力を出し切ってもすぐに20や30になることはなく、力がつくのはほんのわずか。それでも、力を出し切れば確実に力が付く。」と言っています。
ほんのわずかですから自分では気づきにくく、本当に成長しているのか心配になる人もいますが、その積み重ねを続けることが成長、進歩というものです。全力を出し切るというのは、皆さんが成長するためになくてはならないことなのです。お金と違って人間の力は使い切らないと増えていきません。出し惜しみをせずに思いっきり使い切ってください。
2学期の終業式で「考えること」と「悩むこと」の話をしました。「悩む」から「考える」にシフトし、さらに、「全力を出して行動する」3学期にしてくれることを期待しています。
悩むことと考えること(2学期終業式 校長講話)
明日から、冬休み。昨日の大掃除に続き、今朝は寒い中、野球部が学校周りをきれいにしてくれました。ありがとうございます。3年生は、本日共通テストガイダンスも予定され、大学入試に向けて追い込みの時期、実力が発揮できるよう頑張ってください。
さて、今日は「悩むことと考えること」という話をします。皆さんはテストが終わったばかりですが、テスト前のAさんとBさんという想定で話をするので、想像してみてください。
Aさん 明日の大切なテストに向けて、夜遅くまで勉強しています。12次も過ぎたころ、不安になってきました。「もし明日、テストで失敗したらどうしよう…」 そう思った瞬間、心はざわざわし始め、不安が頭から離れません。
次は、Bさん 同じように、テストの準備をしている。「この問題は先生が重要と言っていたのでしっかり復習しよう。優先順を考えて計画し、効率よく勉強する方法を考えよう。」 と、自分に言って取り組みます。
さあ、ここで AさんBさん、どちらが「悩む」でどちらが「考える」でしょうか。これらは似ているようで、大きく異なります。Aさんは「悩む」という状態、Bさんは「考える」という状態です。
では「考えること」と「悩むこと」の違いは何でしょう。「悩む」とは、心が苦しむ状態を指します。例えば、テストの点数が思うように取れなかったとき、そればかりを考えて夜も眠れなくなってしまう状態です。この時、頭の中は過去に向かったネガティブな思考でいっぱいになります。一方、「考える」とは、様々な選択肢を冷静に比較し、解決策を模索する活動です。例えば、週末に友達とレイクタウンに買い物に行くか、図書館やスタバで勉強するかを冷静に考え、時間を効果的に使う方法を決めることです。選択肢を比べながら、未来に向かって最善の選択をしようとします。つまり、「悩む」は、ただ痛みを感じているだけで、解決には一歩も近づけません。しかし、「考える」は、問題を解決するためのステップであり、前に進む力を生むものです。
ただし、「悩む」と「考える」はどちらも大切な思考です。悩むということは、それだけたくさんの思考ができている状態で、だれもが悩むものです。その悩みが皆さんの人格を形成しているのです。とはいっても、悩んでばかりでは何も解決しないのも事実です。問題を解決するためには「悩み」から「考える」に思考を変化させる必要があります。
皆さんの進路についても考えることが大切です。推薦に関する資料が職員室前に掲示されていますが、1・2年生も見ていますか。大学の推薦条件としてどんなものがあるでしょう。例えば、評定平均〇〇以上、欠席〇日以内、次いで英検などの資格を基準としてあげている大学が多くあります。
先日、英検の校内受験の申し込みがありました。2級と準2級併せて30人弱、皆さんの進路希望の割合からすると、少なすぎないでしょうか。漢検も人数が少なくて実施できませんでした。はたして、進路について「考える」ことができているのかと心配になります。また、学習状況のアンケートでは、試験前でない通常の期間、学習時間が1時間以下の生徒の数が多い。これも、悩んでいるが考えていない証拠です。
本校3年生の例を紹介します。埼玉県立大学という看護系の学校で、県内トップの難易度の大学に合格した生徒がいます。その生徒は3年の9月頃、先生から相当本気で取り組まないと無理だといわれました。ここまでは、悩んでいる状態です。ただ、そこから何をやるかを考え、毎日のように職員室前の机で勉強していたそうです。考えて、アクションを起こし、進路実現を果たしたのです。
私は4月に草加東高校に着任して以来、いつも皆さんのポテンシャル(潜在能力)の高さに感心しています。しかし、もったいないことに、自分の持っている力に気づいていない、または、過小評価しすぎている生徒が多い気がします。
皆さんは多くの可能性を持っています。実現したい進路があれば、悩んでないで、考えるにシフトしてください。人生は、常に選択の連続です。だからこそ、「考える力」を磨いて、自分の未来を切り開いてください。
冬休みは、、夢を描き、目標に向けて、悩むから考えるにシフトするチャンスです。健康に留意し、有意義な冬休みを過ごしてください。