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風は東から(校長ブログ)

卒業生へ最後の授業(校長式辞)

 卒業生の皆さん、保護者の皆さま、ご来賓の皆さま、そして在校生の皆さん。
令和7年度 県立草加東高等学校の卒業式にあたり、皆さまと共にこの佳き日を迎えられますことを、心からうれしく、また誇らしく思います。

 まずは、卒業生の皆さん、ご卒業おめでとうございます。三年間この学び舎で培った努力と成長に、心からの拍手を送ります。また、日々温かく支えてくださった保護者の皆さま、地域の皆さま、本校教育にご理解とご協力を賜りましたことに、深く感謝申し上げます。

 皆さんが入学した当初から今日に至るまで、我が国の総理大臣も岸田総理、石破総理、高市総理と政治は変わり、社会も大きく揺れ動きました。また、世界に目を向けると戦争や紛争が続き、いまだ終息が見えない不安があります。いま、私は右手に白い手袋を持っています。一説によると武器をもっていない、戦う意思はないことを表していると聞きました。世界のリーダーの手にも白い手袋をもってほしいと切に願います。
 このような時代、皆さんの学びの在り方も、生活のリズムも、様々な変化を求められる中で、環境に適応しながら、自分の課題と向き合い、仲間と支え合い、着実に前へ進みました。行事や部活動、日々の授業の一つひとつに、皆さんは確かな「自分の言葉」と「自分の選択」を積み重ねてきました。その粘り強さ、誠実さ、そして挑戦する姿勢こそが、草加東で育った皆さんの誇りです。

 本校が大切にしてきたのは、知識の習得だけではなく、総合的探究の授業や学校行事など、問いを立て、仲間と協働し、解を創り出す力です。失敗を恐れずに試し、振り返り、次へ活かす——この「学び続ける力」は、進学先でも、職場でも、社会のどの場面でも、皆さんを確実に支えていくことでしょう。そして、地域に根ざし、他者を思いやる姿勢を身に着けました。多様な価値観を尊重し、対話から新しい道を拓く姿勢は、これからの時代にこそ求められる力です。

 本校から旅立つ皆さんに、私から最後の授業として、三つのエールを送ります
 一つ目は「誰かのために考える人になれ」
自分の成長を他者の喜びと結びつけてください。小さな配慮や丁寧な言葉が、信頼を生み、豊かな人間関係を築きます。そして、世界のどこかで誰かを支え、誰かを笑顔にできる人になってください。

 二つ目は「学びを止めない人になれ」
知識は更新され、技術は進歩し、社会の課題も姿を変えます。確かな知識はSNSでは得られません。本や新聞を読み、世の中の「なぜ」を検証する。「なぜ」を解き明かすことを楽しむ心を持ち続けてください。

 最後に「自分を大切にする人になれ」
忙しい時こそ、健康を整え、休息を取り、自分自身と対話して心の声に耳を傾けてください。自分を丁寧に扱える人は、周囲にも優しさを広げられます。

 在校生の皆さん、先輩方の背中に学び、学校をより良くする工夫を重ねてください。挑戦は未完成であってかまいません。未完成だからこそ、伸びしろがあります。互いに認め合い、安心して意見を交わせる校風を、皆さんの手でさらに磨いていってください。

 保護者の皆様、これまでのご支援に、本校教職員を代表し、あらためて感謝申し上げます。子どもたちが安心して挑戦できる環境は、家庭と学校、地域がつながってこそ実現します。3年間、本当にありがとうございました。

 結びに、卒業生の皆さんにシェイクスピアの言葉を送ります。シェイクスピアは「われわれは、夢でできている」と表現しました。皆さんの胸にある夢は、努力と仲間との協働によって、確かな現実へと形づくられていきます。ぜひ、夢をあきらめず、持ち続けてください。

 これから先、思い通りにいかない日も、思いがけない幸運に恵まれる日もあるでしょう。そのすべてが皆さんを鍛え、彩る糧になります。皆さんの未来が、本校校歌に歌われる、茜色の夕空のように色彩豊かなで、希望に満ちたものでありますことを心より祈念しています。


令和8年3月11日
埼玉県立草加東高等学校 校長 佐藤智明

自分軸をつくる(3学期始業式)

 令和8年、新しい年を迎えました。皆さんは冬休みどのように過ごしていましたか。

 先日、鳥取・島根での地震がありました。君たちの身近にも、被災された人がいるかもしれません。日本はどの地域でも、同様な地震が起こる可能性があります。学校にいるときは避難訓練もしており、先生方が誘導してくれます。通学中に地震が起きたときの対応は想定していますか。日頃からの備えを忘れずにしてください。

 新年早々気になるニュースがありました。アメリカがベネズエラ攻撃(ベネズエラなどは侵略)しマドゥロ大統領の拘束しました。ロシアのウクライナ侵略はいまだ停戦への道筋が見えません。イスラエルはパレスチナ自治区ガザでのハマスとの戦闘、停戦から3カ月たつがいまだ戦闘が続いています。

 みなさんは、これらのニュースを聞いて、遠い世界のことで自分には関係がない、さらに、高校生の自分たちにできることなんてないと思っていないだろうか。

 国と国の調停に関わったり、現地に行ったりすることはできなくても、君たちにできることはたくさんあります。まずは、興味を持つこと、そして、真実を知ること。そのためには複数の情報源を見てください。それぞれの立場で自己を正当化する発言があり、それぞれに正義だと発信している。では、何を信じればいいのか。

 一つの事実に対して、異なる解釈があるとき、正しく判断するにはどうしたらいいのか。情報の授業などで学んでいるが、ネットの情報をうのみにせず、正しく判断することと同じです。

 大切なのは、自分の考え、すなわち「自分自身の軸」を持つこと。自分自身の軸を持つために必要な力は、どうやって身につければいいか。それは「学ぶ」ということ。歴史から学ぶ、書物から学ぶ、人から学ぶ。中でも、偏りなく、バランスよく学ぶのに最適なものは学校の授業です。皆さんの学校での学びは、進路実現のためでもあるが、将来にわたって自分の軸を持つために大切な基礎となります。

 3学期はこれまで学習してきたことの集大成です。周囲の雑音に惑わされることなく、自分軸でぶれずに判断できる力を身に着けるためにも、日頃の勉強に打ち込んでほしい。そして、クラスには新聞が配られている。ネットニュースなどと違って、バランスの取れた捉え方をしている。毎日の習慣で世の中を見る感性も養ってください。

 3学期は1・2学期と比べて短く、入試もあるのであっという間です。計画的に充実した生活を送ってください。

2学期終業式(自分の個性も他人の個性も大切にしよう)

 今学期、嬉しいことがあったので紹介します。
 卒業生から寄付をいただきました。平成4年の卒業生で50歳前半の方。所用があって、学校に来校されたとき、在学中にお世話になったので、寄付をしたいという申し出を受け、ありがたく受け取りました。その卒業生は、いまも地元で暮らしています。おそらく、高校時代にたくさんの思い出があり、30年以上たった今も一人の卒業生として、この学校を見守ってくれている方がいることをとても嬉しく感じます。
 皆さんも、いまを一生懸命に充実させることができれば、いつか振り返った時に、この卒業生と同じように、ここで自分自身が成長したと感じられるのではないかと思います。君たちの周りには、草加東の後輩を思いやる先輩たちがいることを忘れずに生活してください。

 さて、3年生は進路が決まった生徒、または、これから大学入試を迎えて頑張っている生徒も多くいる。
1月17日・18日の共通テスト、さらに一般入試に向けて頑張ってください。

 本校は約半分の生徒が大学進学をするのですが、大学には、高校の授業にはない、変わったテーマを研究する学問があります。例えば、国立大学法人 東京学芸大学 准教授の小西公大さんは「変人類」をテーマに研究する、変人類学研究所の所長で、東京学芸大学が企業と教育プログラムの構築を探る実践型研究機関です。彼が研究する「変人類」というのは、変な人類学(変・人類学)を学術的研究する学問で、マージナリティ(境界性)、マイノリティの特異な視点を研究し、現代社会に適合する次世代のクリエイティブ教育の構築を探るというものです。
 簡単に言うと、人とちょっと変わった視点で、多角的に物事をとらえることが、新たな教育革新につながるヒントとなることを研究しています。
 小西先生が研究を始めたきっかけは、インドに行った時のこと。日本のあたりまえと思っていたことがインドでは通じないことに驚きました。彼は、これまで当たり前と思っていたこととの違いに出会う度に、自分の枠が広がっていく経験をしたと言っています。

 私もJICAの関係でバヌアツやブラジルで仕事をして同じような経験をしました。日本人は時間に正確です。新幹線の時間の正確さは世界でも類を見ない。ところが、バヌアツで酋長と待ち合わせをしたとき、相手が3日くらい遅れてきました。日本人である私は、なんで3日も待たせるんだと怒ってしまったことがあります。ところが、友人が言うには、酋長は約束の時間に20Km位離れた村を出た。そして歩いてくる途中に手土産をもっていきたくなって、野生の牛を捕まえようとして森に入って探しているうちに3日遅れてしまったとのこと。「君は待っていただけだが、彼は3日間ずっと君のことを考えて、森を歩いていたんだ。だから怒ってはいけない。」と言われ、自分の立場でだけ考えて、相手の立場で考えていなかったと、はっとさせられたことがありました。
 違いというより、相手の立場で考えることができたかどうか、ということかもしれない。相手の立場で考えるとは、想像力が必要なこと。想像力を身に着けることも、自分自身の枠を広げることにつながります。

 皆さんは、いま、高校生活では小中学校よりも広範囲から人が集まっています。その中で一人一人が違うのは当たり前のこと。お互いの違いを受け入れて認め合い、違いを活かしあうことが大切です。また、自分はもしかしたら周りの人とちょっと違うかもしれないと思っている人がいたら、それこそが自分の強みなのだと思ってください。

 違いを受け入れて認め合うこと、相手の視点に立って考えること。これらのことは、高校生活において大切なことであるし、皆さんが身に着けてほしい資質です。自分の個性を伸ばし、自分の個性も他人の個性も大切にする。そんなことを考える冬季休業にしてください。

伝統とは (2学期始業式)

 今朝、正門に立ってたら、外の部活動の皆さんは真っ黒に日焼けしていて、夏休み中頑張って、きっと心身ともに鍛えられて、体力も向上していると思います。まだまだ暑い日が続きますが、体調管理をしっかりと行い元気に過ごしてください。

 今週は文化祭もあります。生徒会やクラス、部活動など準備をしてきたと思います。コロナ感染も再び広まっているようです。自分自身も、周りの人も大切に考えた行動をお願いします。

 新学期にあたり、悩みや不安がある人もいるでしょう。特に3年生は、進路に向けて不安もあると思います。
そんなときは一人で抱え込まないで、家族や友人、先生に相談してください。相談をされた人は、解決しようとしなくてもいいから、寄り添って、あなたは大切な友達だと伝えてください。そして、一緒に誰かに相談してください。

 さて、私は夏休みに宮崎県の高千穂地方に行ってきました。岩戸隠れといわれる神話を聞いたことがある人もいると思います。天照大神が天の岩戸に隠れて、世の中が闇に包まれてしまい、困った神様が話し合いをした。閉じられた岩の前で鈿女が躍ったのをのぞこうとしたすきに、扉を外して世の中に昼間がやってきたという言い伝えです。天の岩戸神社がある、高千穂地方は神話の郷ともいわれています。どの地域にも、古くから伝わる神話や民話があり、様々な示唆に富む話があります。

 皆さんになかには、この夏休み、田舎に帰ったり、お盆にはお墓参りに行った人もいるかもしれません。私も親の墓参りをしながら、お墓で手を合わせ祖先の方に思いをはせるという伝統的な習慣にはどんな意味があるのか考えました。

 私たちは、医療関係者や葬儀の関係者でもない限り、日常の中で人の死を意識する機会は少ないと思います。それでも地球上の一生物である私たちは、確実にいつかは死を迎える。そんな当たり前のことを意識し、限りがあるからこそ、いまを生きるこの瞬間を大切に思うために、伝統的な習慣が続けられてきたのではないかと思いました。
 最近では、簡素化されることもありますが、古くからおこなわれてきた、伝統行事や風習には今を生きる私たちにとって、大切なことを教えてくれているのかもしれません。目新しいものだけでなく、古くから伝えられてきたことも大切にしてください。

 今学期は、本校伝統の東輝祭をはじめ、いろいろな行事もあります。本校の伝統を大切にしつつ、みんなで協力して取り組んで、充実した2学期にしていきましょう。

世界に目を向け、自分を成長させる夏休みに

【1学期終業式 校長講話】

 本日で1学期が終了します。この3か月間、皆さんそれぞれが学業や部活動、学校生活の中でたくさんの挑戦をし、多くの経験を積んできたことと思います。皆さんの成長を心から誇りに思います。まずは頑張った自分自身をしっかりと褒めてください。

今学期、嬉しかったこと
① 先日、近隣の方から感謝の電話をいただいた。本校生が帰宅途中、草加公園で倒れた人を介抱し救急車を呼び、飲み物も用意してくれた。周囲にいた人がしっかりした、素敵な高校生を見て嬉しくなったと伝えていただきました。
② 草加市川柳地区民生委員の方から、地域ボランティアへの貢献してくれる本校生に感謝状をいただいた。
③ 野球応援では、サッカー部、ラグビー部、吹奏楽部をはじめ、たくさんの生徒と一緒に応援し、一緒に校歌を歌えたこと。野球部の部員も一人一人が、チームのためにできることを全力でやりぬく姿に感激しました。
 これらのこと以外にも、草加東の皆さんは、いろいろなところで誰かのために、行動をしてくれていると思います。一生懸命な人を見ると、人は応援したくなるものです。皆さんは、応援される人になってください。

 さて、いよいよ夏休みが始まります。今日は、夏休みをより有意義に過ごすための3つのヒントを、皆さんにお伝えしたいと思います。

1. 世界に目を向けよう
 今、私たちが暮らす世界は、日々大きく変化しています。気候変動、エネルギー問題、国際紛争、人道危機など、さまざまな課題がニュースで取り上げられています。これらは遠い世界の話ではなく、私たちの生活にも深く関わっています。皆さんが社会に出る頃には、こうした問題にどう向き合うかが、ますます重要になります。だからこそ、この夏は「世界で何が起きているのか」に目を向ける時間を持ってみてください。
 •新聞やニュースをチェックする
 •興味のある国やテーマについて本を読む
 •インターネットで調べてみる
こうした行動を通じて、世界の広さや多様性を感じることができるはずです。
 また、7月20日には参議院議員通常選挙が行われます。今年は、初めて選挙(第1回衆議院議員総選挙)が実施されてから135周年、男子普通選挙100周年、女性参政権80周年、そして選挙権年齢が18歳に引き下げられてから10年を迎える節目の年でもあります。選挙権を持つ3年生の皆さんは、ぜひ自分の意思を一票に込めてください。選挙権のない皆さんも、あと少しでその権利を得る年齢になります。選挙は未来の社会を選ぶ行動です。自分のこととして、関心を持ってみましょう。

2. 自分の成長に時間を使おう
 夏休みは、普段の学校生活ではなかなかできないことに挑戦できる貴重な時間です。新しい趣味を始めたり、好きなことを深めたり、自分の目標に向けて努力したりするチャンスです。
特におすすめしたいのは、「未来につながる行動」を起こすこと。
 •大学進学を考えている人は、オープンキャンパスに参加してみましょう。1年生からでも大歓迎です。
 •模試の結果にとらわれすぎず、「行ってみたい」と思える学校に足を運んでみてください。
 •模試の結果は、今の自分を知る手がかりです。これからどれだけ伸びるかを考える材料にしましょう。
夢を語るときは、少し大げさなくらいがちょうどいいのです。宇宙飛行士の若田光一さんは、高校生の頃から「宇宙に行く」と周囲に宣言していたそうです。周りに何と言われても、言い続けたことで宇宙飛行士の夢を現実にしました。
 今日7/18は「ネルソン・マンデラ国際デー」です。南アフリカで反アパルトヘイト(人種隔離政策)と戦い、のちに大統領となったネルソン・マンデラの言葉にこんなものがあります。
 「生きるうえで最も偉大な栄光とは、決して転ばないことではない。転ぶたびに起き上がり続けることだ。」失敗しても、目標を見失しなわなければ、必ず目標に近づくことができるものです。将来の夢を見失わず、前に進んでください。私は海外ボランティアに参加したとき、彼の言葉にとても影響を受けました。

3. 健康と安全を第一に
 夏休みは楽しい反面、危険も潜んでいます。交通事故、水の事故、熱中症などには十分注意してください。
また、規則正しい生活を心がけ、心身ともに健康を保つことも大切です。長い休みだからこそ、体も心もリフレッシュできるようにしましょう。

最後に
 皆さんがこれからの人生を歩むうえで大切なのは、「自分が何を感じ、何を考え、どう行動するか」を常に問い続けることです。そのためには、自分自身と向き合う時間が必要です。この夏休みを通じて、「自分が何を大切にしたいのか」を考え「未来につながる行動」を起こしてみてください。2学期、皆さんが一段と成長した姿で学校に戻ってくることを楽しみにしています。